Amazon Monitron導入までの流れ
はじめに
今回はAmazon Monitron(以下Monitron)を導入するまでに必要な準備を解説します。 Monitronを導入したいけど、導入までに何を準備すればいいの?という方の参考になれば嬉しいです!
Monitronって何?
まずはMonitronの概要について軽く触れておきます。 Monitronは産業機器の予知保全を行うサービスです。 専用のセンサーで取集したデータから機械学習を用いて機器の故障を予測します。
また、AWSが提供するダッシュボードからMonitronが収集した振動、温度のデータをモニタリングすることができます。 Monitronが異常なパターンを検知するとユーザーに通知を送信することもできます。
このように、導入後の手間をかけずにモニタリングや通知ができるのもMonitronのいいところです。
どんな機器に使えるの?
Monitronは回転機械をモニタリングすることを目的としています。 ファンやモーター、ポンプ、コンプレッサーなどがその例です。 以下はAWSのドキュメントに記載されているユースケースです。
振動や温度変化で異常状態が判断できる機器の予知保全を行うことができます。 それではMonitronがどのようなサービスか分かってきたかと思うので、Monitron導入までに必要な準備を確認しましょう!
全体像
まずは準備の全体像です。
順番を書いていますが、それぞれ前後しても問題ありません。
準備〜導入まで
AWSアカウントの準備
何はともあれ、まずはAWSアカウントが必要です。
Monitronのユーザー管理にはIAM Identity Centerが必要なため、AWS Organizationsが使用できるアカウントを用意してください。
弊社が提供しているクラスメソッドメンバーズでアカウントを作成する場合には、AWS Organizationsが使用できる「組織管理プラン」が必要です。(執筆時点)
Monitronの準備
次にMonitron本体を準備します。
Monitronは最低限センサーとゲートウェイが必要です。 センサーは現在5個セットで販売されています。 執筆時点は1個ずつの販売ではないので注意が必要です。
センサーは通常想定される送信頻度でバッテリー寿命が5年程だそうです。 バッテリーは交換できないため、バッテリーが切れた場合は新たにセンサーを購入する必要があります。
ゲートウェイはWi-Fiモデルと、Ethernetモデルがあります。 それぞれ電源の取り方が違います。
[Wi-Fiモデル]
- AC電源アダプター
[Ethernetモデル]
- Power over Ethernet (POE)給電
- カテゴリー5e or 6のLANケーブル
EthernetはPOE給電対応のHUBまたはルーターが必要なので注意が必要です。
ゲートウェイはDHCPによりプライベートIPが割り当てられます。 そのため、AWSへ接続するためにはルーターが必要になります。 もしゲートウェイが接続できる範囲にルーターが存在しない場合は別途準備する必要があります。
Monitronの設置場所の確認
次にMonitronを設置する場所を確認します。 不安があればMonitronを準備する前に確認した方がいいでしょう。
まずはゲートウェイ(と必要であればルーター)の電源が取れることを確認します。
次に通信のための位置確認です。 ゲートウェイとセンサーはBluetooth Low Energy (BLE)を使って通信を行います。 センサーとゲートウェイの距離は20~30m以内を想定されており、 通信を遮るような障害物がある場合や、距離が微妙な場合には取り付け前に通信ができるか確認しましょう。
AWSと接続
Monitronの準備、設置場所に問題がないことが確認できたらAWSとの接続を行います。 これはこの後のセンサーの取り付けと前後しても問題ありません。
大まかに、
- Monitronのコンソール画面よりユーザーや環境の作成
- スマートフォンでデバイスの登録
を行います。
詳しいAWSとの接続についてはこちらの記事を参考にしてください。
センサーの取り付け
最後にセンサーの取り付けです。
センサーの取り付けには瞬間接着剤を使います。 表面に大きい凹凸がある機器や、取り付け面が湾曲している機器に取り付ける際は、空洞部分を接着剤で埋めるなどの工夫が必要です。 センサーは振動と温度を計測しているので、取得したいデータが取れそうな位置に取り付け可能か確認しておきましょう!
また付け外しが難しいので、機器のメンテナンス時に邪魔にならないような位置であることも考慮しておきましょう。
モニタリング
全てのセットアップが終了したらモニタリングしてみましょう。
MonitronにはAWSが提供するダッシュボードがあります。 ダッシュボードからデータを可視化したり、通知機能を使って異常を検知することができます。
まとめ
色々手順を書きましたが、個人的にはこれだけで故障の予知保全ができるのは便利だな〜という印象です。 私は以前機器を扱う仕事をしていましたが、故障の予測をするのは非常に難しかったです。 振動や温度というのは人の感覚で感じ取るのは難しいので、こういったシステムで数値を可視化するというのが重要だと思います。